工場の仕事は危険ですか?と問われたら「実はそうでもない」と私は答えたいです。
大抵の工場では危険箇所に対策が取られています。
そしてルールを守ればほぼ安全です。
逆に言えば危険対策ができていない工場、そしてルールを守らない人は怪我や最悪死亡事故の可能性があるというわけです。
「100%安全」と言い切らないのは、まだ見ぬ危険箇所があるかもしれないからです。
その危険に気が付いた時に対策を取り、少しでも危険を無くすことで工場は安全な職場になるのです。
ここでは工場が意外と安全な理由と危険な工場を見分ける方法についてお話していきます。
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【この記事を書いた人】
サトシ
販売→営業→倉庫と渡り歩き金属加工工場に転職して10年目。
組合の執行役員も担当し工場の現場と会社の内部事情も熟知。
工場の危険はルールを守ることでほとんど防げる
工場では安全に働くために様々な対策を取っていることがほとんどです。
これまでの対策を超えた想定外の事故を防ぐのは難しいですが、対策を取っているところで事故が起こる時のほとんどはルールを守らなかったことによります。
なぜルールを無視するのかといえば、面倒に感じるからです。
危険が無いように安全な手順が設定されていても、その手順を全てやると面倒なことが多いので省略してしまうことがよくあります。
しかし面倒な手順は事故を避けるためにあるのです。
それを省略すれば事故が起きるのは当たり前の話です。
私の職場にも指の無い人が数名いますが、ちょっとした油断から確認を怠り事故になったという場合がほとんどです。
「ちょっとくらい大丈夫」と思っている人が多いとそこは事故の多い危険な工場というわけです。
だから一番注意すべきことは「ルールを守って作業をする」ことです。
ベテランと初心者、どちらの事故が多いか?
実は意外にもベテランが事故を起こすことがよくあります。
初心者は作業を覚えたてで危なっかしい分、周りも注意しますし何より手順に忠実なので案外危険が少ないです。
しかしベテランは何年も同じ作業をしている分「慣れ」からつい油断したり作業を省略してしまうことがあります。
いつもと同じ作業だとしても絶対に同じということは言い切れません。
作業や手順を省略するだけでいつもと同じではなくなることがあります。
慣れていても手順に忠実に作業しましょう。
実際工場の災害は多いのか?→実は年々減っている
工場には様々な機械や作業があり、扱うものによってはちょっとしたミスで大怪我や死亡事故を引き起こすようなこともあります。
しかしそんな危険でいっぱいの職場で命がけで働きたがる人はいません。
そもそも頻繁に事故の起こる工場は生産性も低いし人の定着もままならないので商売になりません。
危険だからこそ安全で安心に働けるように様々な対策を取るのは工場にとって当たり前であり、できないようであれば生き残っていけません。
事故を起こさないようにどこの工場でも対策を取っているので、死亡災害は統計を取り始めた1965年から現在にかけて減少傾向にあります。
参考までに直近10年間の死亡災害の推移は以下のようになります。
(出典:厚生労働省 「災害発生状況」より)
製造業では緩やかに減少傾向ではありますが、10年前と比べて死亡事故は70人も減少しています。
このデータから、これからも工場の仕事はより安全になって行くことがよく分かります。
5SとKYTが工場の安全性を高める
工場の安全性を高めるために外せないのが5SとKYTです。
5Sとは「整理、整頓、清掃、清潔、しつけ」の頭文字を取ったものです。
KYTとは「危険予知トレーニングの略です。
面接時に5SやKYTについて質問することでその工場がどれだけ安全に取り組んでいるかも分かるので詳しく聞いてみましょう。
5Sで働きやすく安全な職場を作る
【整理】
必要なものと不要なものを分けて、不要なものは捨てること。
いらないものがあると作業の邪魔になるだけでなく不衛生です。
【整頓】
必要なものがすぐ使えるように準備しておくこと。
使うものの個数も決めて保管しておく。
作業がスムーズに進むし紛失した際もすぐに分かる。
【清掃】
機械や作業環境を綺麗にしておくこと。
定期的なメンテナンスをすることで常に機械はスムーズに動かせる。
【清潔】
整理、整頓、清掃を保つこと。
清潔な状態を保てるように誰でもできるような環境整備(ルールなど)が重要。
【しつけ】
整理、整頓、清掃、清潔を保つように習慣づけること。
工場で働いたことがない人からすると、工場の環境は雑然として散らかっているようなイメージを持つ人も多いです。
しかし5Sを取り入れることでそのイメージは真逆のものになり、実に働きやすい環境にすることができるのです。
当然、それは安全性の向上にも繋がるというわけです。
KYTで危険を予測して回避する
イラストや写真を見て「どんな危険が潜んでいるか」を挙げて対策を取っていきます。
具体的には「4R法」と呼ばれるやり方が一般的です。
第1R(現状把握)どんな危険がひそんでいるか
第2R(本質追究)これが危険のポイントだ
第3R(対策樹立)あなたならどうする
第4R(目標設定)私たちはこうする
これらをリーダーを中心に班ごとに進めていきます。
第4Rの目標設定ができたら共通の新しいルールとなります。
手順書に新しく記したり新ルールとして掲示しておくとさらに効果的です。
回転体に巻き込まれたら指は簡単にちぎれます
私は以前、安全体感講習というものに出席したことがあります。
実際に様々な状況で何がどれくらい危険なのかを体感するのですが、自分で考えているよりも事故に巻き込まれたら「ヤバイ」と感じました。
(もちろん実際に自分の体を危険に晒すわけではありません)
特にこれは危険だと思ったのは「回転体に巻き込まれたら」の体験ですね。
ボール紙でできた腕に見立てたものを回転体に入れるわけですが、高速の回転体に巻き込まれると「あ」と思う前にもうかなり巻き込まれています。
それくらいの速さと力で動いているので、これが実際の指や手だったら秒でちぎれているでしょう。
それなら低速の回転体はどうなのか?
低速でも巻き込まれると「あ」と思う余裕はあれど、抜くことができません。
それぐらい回転体の力は強いので機械を止めない限り無情に回り続けて指や手を失うことになります。
私は会社の研修の一環として講習を受けましたが、実際に体験をすることでより危険性の理解が深まったので受ける価値は十分にあります。
危険な工場を見分けるには?→見学時にチェックする
もちろんどの工場でも大なり小なりと対策はとっているのが当たり前ですが、外から見るだけでは本当に安全なのかは分かりません。
面接時に工場を見学させてもらえば安全対策を取っているかどうかで判断できます。
まずは5Sができている職場か
工具類は綺麗に置かれているか、通路や作業スペースは片付いているか、といったところをチェックしましょう。
また、作業着を着崩していないかということも重要です。
しっかり着ていないと作業着を引っ掛けたり機械に巻き込まれたりするので事故につながります。
工場内に表示は十分か
危険箇所には危険を注意する表示をつけて注意喚起すれば事故を減らせます。
通行路と作業用通路は明確に分かれているか、危険箇所に柵は付いているかもチェックしましょう。
作業員の作業態度はどうか
ダラけていないか、作業員同士で合図はよく出来ているか、指差呼称は出来ているか、といったところをチェックしましょう。
作業態度が乱れている職場は手順やルールの無視が横行しているか、そもそも無いのかです。
そういう工場で働くと自分自身を危険に晒すことになるので避けた方が無難ですね。
工場の見学時にこれらをチェックするだけでもどういう工場かが分かります。
チェックしてみて「ここ大丈夫か・・・?」と思ったらその工場は避けた方が無難です。
なぜならあなたの命に関わりますから。
自分が工場の仕事に向いてない?と思った人はこちらもどうぞ。
工場の仕事は危険?のまとめ
- 工場の危険はルールを守って作業することでほとんど防げる
→「慣れ」で手順を省略すると事故を起こしやすい(ベテランは慣れから事故を起こすことがある) - しかし工場の災害数は年々減っている
→危険であることを認識して安全性の向上に取り組んでいる証拠 - 5SとKYTをすることで工場はより安全な職場になっていく
→面接時にどれだけ取り組んでいるか確認してみる - 回転体に巻き込まれると脱出不可能なくらい巻き込まれる
→指や手など簡単に失います - やばい工場かどうか見学時にチェックする
→5Sのできている職場か、工場内の表示は十分か、作業態度はどうか、など
というわけで工場は危険かどうかについて紹介していきました。
確かに工場は危険な作業が伴うので事故を起こしやすいです。
しかし危険を分かっているからこそ安全にとても気を使って対策を取る、それが工場の仕事です。
だからあなたが思っているほど工場の仕事は危険が少ないはずです。
特にルールを守って作業をすればあとはあなたの体力次第かもしれません。
しかし工場の労働災害数も年々減っているとはいえまだまだ危険な工場や作業はあるのも事実です。
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